「涙がでるほど感動することだってあるんだよ。」
確かにあの子はそう言っていた。
そう言われてみれば、近ごろ多くなってきたな。
感動するできごとが多くなったのか
自分の心の様が変わったのか
それともそのどちらもなのか。
自分の心の様が変わったのか
人の心の様が変わったのか
あるいはそのどちらもなのか。
空の変容の風の中
果たして変わらないものはあるのか。
あるのならそれは何か。
砂と共に流れゆく水の中
ひっそりと沈む鉱物質のかたまり
それは一体何なのか。
そうこう考えているうちにふっとアーサーの考えが一瞬止まった。
時間が
止まった。
風の中心
凪だ。