2018/09/12

在るか無いか解らない物語のイントロダクション




朝 目が覚めたら僕の頭の中にミョウバンがあった。

目が覚めたと言ってもまだ半分くらいで

わけがわからずしばらくボーっと天井を見ていると

ミョウバンはいつのまにか結晶になっていた。



何か話しかけてみようか?

名前を知らないから何て呼びかけていいかわからない。

じゃあ、そうだなあ、ミルカって呼ぶね。

君はどこから僕の頭の中に来たの、ミルカ?  

と聞いてみた。

ミルカはブルブルというかウズウズ動いてる。

どうも何か言いたそうだ。

あ、そうか。 口がないから話せないのか。

僕は頭の中のミルカを見つめてミルカの口をイメージした。



「ℵ∅!」



あ! ミルカが何かしゃべった! みたいだけど……

言ってることが全然わからない。

次に僕は自動翻訳機つきの口をイメージしてみた。



「やっと気がついてくれたのね。 思いつくの遅すぎでしょ。」



あ、今度はわかるぞ。 

でも口がちっちゃいから声のトーンが高いのかなあ。

それは関係ないか。 まあいいや。



「ねえ、あたし座りたいんだけど。ここは椅子とかないの?」



あ、ごめん。気がつかなかったよ。 

僕はミルカに似合う快適そうな椅子をイメージした。



「あ~、やっと座れたわ。 

 でもこれあたしには大きすぎじゃない? 

 それにクッションはどこよ。」



わかった、クッションね。 

僕は椅子のサイズを少し小さくイメージして、次に

クッション、、、これもミルカの好みにあうかどうか

わからないけどとりあえずイメージした。



「うんうん、ちょうどよくなったわ。快適快適。

 クッションのデザインがちょっとダサいけどまあそれはいいわ。」



なんかちょっとあつかましいなあ。

でも僕がイメージしないと椅子もないんだからしょうがないか。

人の要望に合わせてイメージするのは疲れるのか

まだベッドから起きてもいないのに僕はなんだかクラクラしてきた。



「ねえ、あたしの朝ごはんどこ?

 あたしの好きなものはねえ、卵と人参とチーズと、

 あ、チーズならカマンベールがいいかな。

 なかったらチェダーチーズで妥協してもまあいいけど。

 それとあたし玉ねぎとピーマン嫌いなの。ホウレン草も。

 お肉も入れないでね。

 もう入れちゃってたらとってくれる? 

 テーブルもないと困るわ。」



あああ~~!もう!

たのむ、朝からカンベンしてくれよ~、ミルカ。





朝 目が覚めたら僕の頭の中にミョウバンがあった。




ミョウバンは めんどくさい.......。