トリロ, ツイロ, ゼロ……
「あのぅ、、、すみません、そこのお方。
少しお時間頂いても宜しいですか？
唐突ですが……私と契約をして頂けませんか？
私ですか？ 私はアク、、、あ、いえ、アルマと申します。
なんの契約か？ そ、それはですね。
こう、何と言いますか、、、
決して貴方様に損はさせないようなご契約でございます。
まあね、ぶっちゃけますとノルマもありましてね。
言葉で説明するのは非常に難しいところなんですが、
この契約の良いところはですね、簡単に申しますと、
つまり貴方様から死というものがなくなる
という素晴らしいメリットがございます。
いえいえ、嘘じゃございませんよ。めっそうもない。
夢に見たことはありませんか？ そうです、夢のようなお話です。
いえね、ひとつだけ難点があることはありましてね。
動きがすべてスローモーション…になるという…
バグというかなんというか… すみません、
まあそれが言ってみればひとつ難点ですかね。
でもそれは考え方次第です。お客様の。
たかがスローモーションですよ。それで死がなくなる。
いいじゃありませんか。
お客様にとって決して悪い話ではないと私は思いますがね。
いかがですか？
あ、いえ、決して怪しい者ではございません。
こちらを郵送致しますので、添付の契約書にサイン捺印の上……
はい、ここにサインを。 そう、そこです……
こちらをご覧下さい。
スローモーションがお気に召さなかった場合にも
忙しいあなたに合ったお支払い方法を
多数ご用意しておりま……」
「ちょっとアンタ、アタシの縄張りで何してんのよ！
アンタ、人の客 盗っていいと思ってんの？
アタシがまだ見習いだと思って舐めんじゃないわよ。
すぐに出ていかないと、おやっさんに言いつけるからね。
おとといきやがれ！
さあさあ、アナタはこんなヤツに騙されてないで
上までアタシについてらっしゃいな。
さあ、アタシの手をとって。
ほ～ら、上よ、上。
悪いようにはしないわよぅ〜。
もっと上、もっと上へ〜。」
境界に棲む 気の弱い悪魔 と 気の強い天使。
エニ熊が遊ぶ森。
それは青のようで青でない。
それは景色のようで景色でない。
各波長の光の屈折率のちがいによって光が分かれて
スペクトルが見えるのです。
この週末、あなたも出掛けてみませんか？
「は～い、カット！」
お疲れさまでした。
